超伝導って何?核融合に超伝導コイルは必要?Q&A-16

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先に 核融合Q&A-1~5 までを読んで頂くと、記事の理解が早まるのでオススメです

核融合炉で超伝導ってよく聞くけど、一体何?基礎から必要な理由、電気抵抗ゼロも

核融合炉を建設するときに必要になる「超伝導コイル」。この記事では、そもそも超伝導って何?の基本的な疑問にお答えします。

そして、核融合炉で超伝導コイルがなぜ必要なのかについても、もちろん解説したいと思います。

目次
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超伝導と超電導の漢字の違いはある?

まず最初に、漢字について。超伝導のことを、よく超電導と書かれる場合もあります。つまり、「伝」と「電」の違いです。

どちらの場合も、意味に違いはありません。これは、「電」を使う方がこの学術分野では少し古い慣習であるだけです。ただ、「伝」を使う方が現在は正しい表記であるのです。

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超伝導って何?電気抵抗がゼロとは?

超伝導とは、「電気抵抗がゼロになる」現象とよく言われます。

では、電気抵抗とは何なのでしょうか。

「電気抵抗」とは、 電気のエネルギーを熱に変えてしまう、エネルギーロスの原因です。

私たちが日常生活で電気を使う時。照明、掃除機、冷蔵庫、スマホ、そしてそれらにつなぐ充電ケーブルなどなど。こういった、コンセントから電気をとって明かりや動力、電子機器を使うときなどに、その機器が発熱しませんか?別に熱くなってほしくもないのに‥。これが先ほど述べた電気エネルギーのロスです。

この熱の発生によるエネルギーロスは、私たちが日常生活で使うほぼ全ての電気製品で起こります。なぜ電気のエネルギーが熱に変わるかというと、物質の中には普通、「電気抵抗」というものがあるからです。

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電気抵抗って、具体的にどんなもの?

電気抵抗

ここからは少し、物理チックな話になりますが、なるべく簡単に。この章では、色々重要なことを書くので、是非覚えていってください。

「電気抵抗」とは、「物質中の電気の流れを邪魔する仕組み」です。物資中の原子の種類や、原子同士の並び方によって、電気の流れが邪魔され通りにくくなったりすることで、電気抵抗が生じます。

この電気の流れが邪魔されるときに、先ほど述べたようなエネルギーロスの熱が発生します。

そもそも、「電気の流れ」、つまり「電流」は、原子の中で自由に動ける「電子たちが、物質中の原子の間を移動すること」で生じるものです。(以下、その解説記事へのリンク)

  • 電子の移動・流れを妨げるように原子が並んでいる物質
  • 原子の種類の問題で、電子が移動しにくい・流れにくい物質

は、電気抵抗が大きいと言われます。

同じ金属でも、例えば銅線が電源コードなどによく使われて、鉄が使われないのは、銅の方が電気抵抗が小さく、一方で鉄の方が電気抵抗が大きいからなのです。

電気抵抗と発熱のイメージ‥もう少し分かりやすく

電気抵抗と発熱のことを、「人混み」を例えに使って、もう少し分かりやすく説明します。

物質を構成する原子の集団。これをイメージするために、

  • 原子の役になった人 と、
  • 原子の中でも自由に動ける電子の役になった人

がたくさんいる状況を、下の図のようにイメージします。鉄や銅のような単純な金属の場合、正確ではありませんが、この図に近い状況になります。

物質の電気抵抗と発熱のイメージ

電気の流れは電子の移動・流れなので、電気製品を使うときに電流が流れているところでは、電子役の人たちが高速で走り回っています。

このとき、「電気抵抗」とは、「原子の役の人たちが電子の動きの邪魔になるところをうろうろしてないか」どうかの具合の程度です。それによって、次の違いがあります。

電気抵抗が大きい場合とは

原子役の人たちが、電子役にとってかなり邪魔になる位置をうろうろしている状況。

邪魔な位置でうろうろされると、電子役は原子役の人をなんとか避けて進まないといけないが、避けきれない。そのせいで電子役の人たちは、原子役の人たちにぶつかりながら移動することになる。このぶつかるときに、熱エネルギーロスが発生する。

電気の流れが邪魔され通りにくくなっているため、電気抵抗が大きいということ。

電気抵抗が大きい場合

電気抵抗が小さい場合とは

原子役の人たちが、電子役の人たちにとってあまり邪魔にならない位置でうろうろしている。

そのおかげで、電子役の人たちは、原子役にそんなにぶつからずに済むため、移動しやすい=電気抵抗が小さい。また、熱の発生もそれほどない。

電気抵抗が小さい場合

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超伝導=電気抵抗ゼロのときのイメージとは

上記の説明の流れで、超伝導についても説明します。

超伝導状態 電気抵抗ゼロのイメージ

超伝導とは、電気抵抗がゼロ。つまり、原子役の人たちが電子役の人たちの動きをまったく邪魔しない位置にいるという状態なんです。

また超伝導状態のとき、原子役の人たちは、ほとんどうろついてもいません。停止状態に近いのです。

そのため、電子役の人たちは、原子核役の人たちにまったく邪魔されずに移動できるのです。邪魔されないので、ぶつかることもなく、そのため熱エネルギーのロスも発生しない。これが、超伝導のときの状態。つまり、電気抵抗がゼロの状態です。

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超伝導になるには

では、どうするとこの超伝導の状態ができるのでしょうか。これについて少し解説します。

-196℃~-273℃くらいまで冷やして、原子のうろつきを抑える

超伝導にするためには、まず物質をかなり冷やす必要があります。どのくらい冷やすかというと、一般的には-196℃~-273℃くらいまで冷やす必要があります。(ちなみに、絶対零度と呼ばれる温度がおよそ-273℃です。)家にある冷凍庫なんかは-18℃くらいなので、私たちが日常生活では扱わない温度まで冷やす必要があるとお判りでしょうか。

なぜ、こんなに冷やす必要があるかというと、原子役の人がうろつくことを抑えるためです。原子と言うのは、固体液体気体のどんな状態でも、微妙に振動しています。この振動が、先ほど説明していた原子役の人の「うろつき」なのですが、このくらいの温度まで冷えることで、その振動がなくなるのです。

ちなみに、どうやってそんな温度まで冷やすかというと、液体窒素や、液体ヘリウムと呼ばれる物質を普通使います。以下の動画で、液体窒素の実験を簡単に紹介しています。

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