放射線の正体を知っていますか?放射線はなぜ危険かも解説
この動画では、核融合反応でも発生することがある「放射線」について解説します。以下の図のマークで描かれ、皆さんが怖いものと思っている放射線の正体とは、一体何でしょうか?
放射線とは
そもそも放射線とは、一体どのようなものなのでしょうか。
放射線は、一言で表すと、「見えないミクロの鉄砲」のイメージだと思ってください。どのくらいミクロかというと、鉄砲の弾が、原子のレベルで小さいのです。そして、この「弾丸」のことを、放射線と言います。
放射線の種類
放射線、つまり、見えないミクロ鉄砲の、弾丸の種類は4つあります。それぞれ、
- アルファ線(α線)
- ベータ線(β線)
- ガンマ線(γ線)とエックス線(X線)
- 中性子線
と言います。一言で「放射線」とまとめて括っても、実際はそれぞれが全然違うものたちなのです。
それぞれ紹介していくと、
①アルファ線とは、ヘリウムの原子核が弾丸となって飛んでくる鉄砲のイメージ
②ベータ線とは、電子が弾丸となったハイパーミクロ銃
③ガンマ線とエックス線は、どちらも電磁波が打ち出されるハイテクガン
④中性子線は、中性子が弾丸となった貫通弾です
放射線の種類について、以下の図でまとめられています。放射線は、特定の原子の原子核や、その外側から発生することがあるので、この図のように描かれています。
※ガンマ線は原子核から発せられる電磁波、エックス線は原子核の外で発せられる電磁波という違いがあります。
放射線はなぜ危険か?
放射線は、危ないもの、近づかない方がいいものと思われていますが、具体的にどう危ないのか。それについて、幾つか簡単に説明します。
貫通力が強い
先ほどもお伝えしたように、放射線は原子レベルの小ささの弾丸です。
そのため、種類によっては、人間の皮膚の外から撃ち込まれたとしても、貫通して体内奥深くに入ってくるものがあります。
見えない、撃たれたことに気付かない
そして、放射線の弾丸がミクロ過ぎて、見えないですし、撃たれた人が撃たれたことにすぐ気づかないということがあります。
いつの間にか体内に
また、弾丸が原子レベルに小さいだけでなく、銃側も同じように原子レベルで小さいです。そのため、銃側の方、つまり放射線を出す物質まで、飲み込んでしまうことがあります。この場合もまた、飲み込んだことに気づくことは難しいので、厄介です。
特に人間を含む生物は、放射線に外から当たるよりも、体内に銃の方まで飲み込んでしまい、体内から撃たれる方が圧倒的に弱いので、厄介なのです。
毒のような性質がある
また、怖いのは、放射線の弾丸に毒のような性質があるということです。これについては、さらに次の章で紹介します。
このように、放射線というのは小さすぎて弾が見えず、当たっても気づかない上に、毒のような性質まであるということで、恐ろしいというイメージが付いて回っているのです。
放射線の人体への影響
さて、放射線、あるいは放射線を出す物質が、ミクロで厄介だということは説明しましたが、ではこのミクロな銃弾が人体に撃ち込まれると、何が起こるのでしょうか。
実は、放射線には、当たったところの原子を「電離」させる性質があります。原子は、原子核の周りを電子がまわっている状態で安定していますが、「電離」とは、この原子核と電子の安定状態を乱すことをいいます。
この 電離 が人の細胞の中で起こると、人の体の設計図であり、遺伝子の情報をもつDNAが傷つけられ、ダメージが大きいと細胞が死んでしまうのです。
ただし、DNAには修復機能があります。しかし、DNAが誤って修復されることもあります。そうなると、がん細胞になるのです。
多くのがん化細胞は、人体の治癒機能によって排除されます。しかし、それをすり抜けた細胞が分裂を繰り返すと、ガンに発展する可能性があるのです。
先ほど、放射線の弾には「毒のような性質がある」とお話しました。ここで紹介したように、DNAを傷つけたり、ガンに発展するの危険があるということだったのです。
私たちが放射線のことを怖いと思うのは、こういった放射線を出す目に見えない物質に、「知らないところで触れているかもしれない。あるいは食品に紛れているかもしれない。」と疑念を抱くからでしょう。
ヒトの修復機能
ここまでの話ですと、放射線なんて防ぎようがない、当たったら終わりと思われるかもしれませんが、一概にそうではありません。
そもそも、私達は毎日のように放射線を浴びています。放射線は、宇宙から飛んできたり、地球の地下から発生していたり、野菜などの食べ物を介して、人体に浴びせられています。これらの放射線は人体にとっては微量のため、ほぼ影響はありません。
また、たとえ人体が、放射線の毒のような影響を受けても、先ほど紹介したように、人体にはDNAにもガン細胞に対しても、自己修復機能もあります。そのため、微量の放射線を浴びるだけならば問題ないのです。
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放射線が危険になるとき
微量の放射線を浴びるならば、人体に影響はありませんが、微量でないなら話は別です。
それでは、どのようなときが微量ではなく危険なのかを、解説します。基本的には、実際の銃弾と同じように考えることができます。
弾(放射線)の威力が強い・数が多い・近距離
まず、弾の威力が強いときです。これは、後で紹介する放射線の発生の仕方にもよりますが、とにかく放射線の弾速が速いほど、人体へのダメージは大きくなります。
同じように、弾の数、そして、放射線が発射されるところから近距離にいることも、ダメージを大きくします。特に、体の外から撃たれるよりも、放射線を出す物質を食事や吸引などで取り込んでしまう「内部被ばく」の方がダメージが大きくなります。
放射線を短時間の集中砲火で浴びる
また、同じ弾であれば、長い時間かけて1発ずつゆっくり浴びるよりは、短時間で集中砲火を浴びる方が、人へのダメージが大きくなってしまいます。
急所に当たる
また、放射線にも、人体への急所という概念が存在します。つまり、同じ放射線でも、臓器ごとに強いところと弱いところがあるのです。
放射線の種類ごとの貫通力の違い
これらの要素と、先ほど紹介したアルファ線・ベータ線・ガンマ線とエックス線、そして中性子線のそれぞれの性質や貫通力の違いによって、人体へのダメージも変わります。(貫通力の違いについては、次の記事で解説します。)
このように、銃の弾と同じような要因で、放射線の人へのダメージが変わってくるのです。
今回の放射線解説は、ここまで
放射線について、次の記事で続きを解説します。次の記事では、放射線から身を守る方法と、放射線の単位についての解説がメインです。興味がある方はどうぞ。
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