核融合ワールド最新ニュース (2023年6~7月号)

EX-Fusion
画像引用元: EX-Fusion https://ex-fusion.com/
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先に 核融合Q&A-1~5 までを読んで頂くと、記事の理解が早まるのでオススメです

2023年6~7月は核融合ニュースが日本で色々と!

この記事では、2023年6~7月時点での、核融合関連最新ニュースをまとめました。この2カ月は日本や日本人の動きが多数のため、これらを中心に紹介!

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目次
Fusion Power World

米国核融合スタートアップBlue Laser Fusion Inc.が初回の資金調達を実施 2023.7.24

Blue Laser Fusion

CEO 中村修二氏( 青色LEDの開発でノーベル物理学賞)が設立のレーザー核融合スタートアップが初回資金総額25,000,000米ドル(約35億円)を調達。 独自のハイパワーレーザー発生方式、中性子を発生しないHB11燃料のレーザー核融合を目標とする差別化で注目を集めています。

日本人のノーベル賞受賞者が、レーザー核融合で、しかも中性子を発生しないHB11燃料で、2030年をめどに日本か米国で商用炉を建設する計画などと報道されている今回のニュース。今挙げた項目だけを見ても、真新しい情報・核融合関係者にとって目を引く情報が多いです。

レーザー核融合については、昨年末に米国で以下のような歴史的快挙が達成されています。

しかし、核融合発電の商用化に向けてはまだまだ課題が多いと言われているのも事実。そのような状況で、2030年までにどのような工程感でプロジェクトを進めていくのか。今後の当該会社の動向が注目されます。

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レーザー核融合、世界初の実証炉 阪大発スタートアップ 2023.7.5

EX-Fusion
画像引用元: EX-Fusion

大阪大学発スタートアップのエクスフュージョンは、 レーザー核融合反応を繰り返し起こすための技術を検証する世界初の実証炉を国内に建設する

先ほどに引き続き、レーザー核融合のニュース。日本の大阪大学発のレーザー核融合スタートアップ「株式会社EX-Fusion(エクスフュージョン)」は、レーザー核融合反応を繰り返し起こすための技術を検証する世界初の実証炉を国内に建設すると日本経済新聞が報じています。また商用化の目標は2030年代半ばとのこと。

日本の核融合スタートアップの中でも、「核融合実証炉の建設」を宣言したのは同社が初と思います。海外では核融合スタートアップ大手を中心に、核融合反応実証のための設備建設が進められております。しかし日本ではこれまで、核融合反応部となる「炉」の建設を行うと宣言した民間企業はなかったのです。

そのため、日本でも民間企業が「炉」を建設すると発表したことは、日本の民間核融合の技術レベル発展度合いを計る上で重要なニュースなのです。

また、このニュースの翌日に、三菱UFJキャピタル株式会社が、同社が運営するファンド(三菱UFJキャピタル9号投資事業有限責任組合)より、株式会社EX-Fusionに対し2023年6月30日に出資したことをお知らせしています。

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国際熱核融合実験炉「ITER」の危機 仏当局が「待った」 2023.7.11

画像引用元: World’s Largest Fusion Project Is in Big Trouble, New Documents Reveal – Scientific American

日米欧などが取り組む国際熱核融合実験炉(ITER)の建設が苦境に陥っている。核融合を起こす「心臓部」の真空容器の組み立て状況などに問題が見つかり2035年に計画中の核融合燃焼の実施が大幅に遅れる懸念が浮上している。参加国代表が集まった6月下旬のITER理事会でスケジュールの見直しが議論されたが、結論は出なかった。

少しネガティブなニュース。ITERの建設計画の遅れと予算超過が大きく、深刻な問題として取り上げられました。詳細に関しては、下記の関連リンクを確認して頂きたく。

一般向けには、既に77%以上の建設が進んでいると公にしているITERのため、ここまで来て建設がストップするということはないとは思います。しかし、今後のスケジュールの見通しが立てられないというのは、プロジェクト管理としてはずさんな一面が出ていると言わざるを得ません。

関連リンク

ITERトラブルニュース 関連リンク:
World’s Largest Fusion Project Is in Big Trouble, New Documents Reveal – Scientific American
Component repair | A four-day ‘reverse lift’ (iter.org)
トカマク式核融合が超小型化、MIT発ベンチャーが高温超電導でゲームチェンジ | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
国際熱核融合実験炉、運転開始は2027年以降に 部品不具合で延期 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

日本の核融合向けプラズマ実験施設「JT-60SA」の稼働が開始 2023.6.6

日本の核融合戦略の1つ JT-60SA計画
組立てが完了したJT-60SA。引用元:JT-60SA建設 – 量子科学技術研究開発機構 (qst.go.jp)

JT-60SAは、量子科学技術研究開発機構(QST)の那珂核融合研究所に、2020年に建設されたばかりの、核融合向けの先進プラズマ実験装置です。

フランスのITERと並行して、日本のJT-60SAで先進的なプラズマ実験を行い、プラズマの制御に関する知見を共有します。それによって、ITERからの研究成果創出を加速させる計画です。

建設されたばかりと言っても、元々はJT-60Uという核融合向けの大型プラズマ実験装置が存在しました。それを一旦解体し、超伝導コイル等の最新機器を導入し直して、グレードアップした形です。

しかしながら、建設完了後の令和3年3月に発生した超伝導コイル本体と電路をつなぐ接続部の「絶縁損傷」が見つかりました。このため改修作業が必要で、プラズマ試験に移行できませんでした。

そして今回の報道のように、ようやく改修作業が完了しました。順調に進めば、2023年秋ごろにプラズマ実験を開始できるとのことです。

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核融合の説明を熱心に聞く岸田首相 総合科学技術・イノベーション会議にて  2023.6.8

核融合の説明を聞く岸田総理
核融合の説明を受ける岸田総理 画像引用元:令和5年6月8日 総合科学技術・イノベーション会議 | 総理の一日 | 首相官邸ホームページ (kantei.go.jp)

令和5年6月8日、岸田総理は、総理大臣官邸で第69回総合科学技術・イノベーション会議を開催しました。岸田総理のお話の中に、「本日デモを拝見したフュージョンエネルギーでも、早期実用化と産業化に向けた競争が始まっています。」とあります。

量子科学技術研究開発機構(QST) 小安理事長による核融合研究開発についての説明や、QST那珂核融合研究所との中継も行われ、総理から激励のお言葉が送られたそうです。

内閣総理大臣が、核融合という技術を目の当たりにされる機会というのは、これまでなかったかもしれません。日本のトップが核融合技術・国内産業発展について、今後も気にかけてもらえるといいなと思います。

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核融合発電に必要なレアメタル(希少金属)のベリリウムを製造販売する日本のスタートアップが立ち上がる  2023.6.7

量子科学技術研究開発機構・六ケ所研究所の研究者らが、核融合発電に必要なレアメタル(希少金属)のベリリウムを製造販売するスタートアップ(新興企業)を立ち上げた。青森県六ケ所村に技術開発拠点と工場を設ける計画で、今後5年をめどに製造開始を目指す。独自の金属精製技術を生かし、他社との連携や産業創出も視野に入れている。

日本にまた、核融合関連のスタートアップが立ち上がりました。国立研究機関 量子科学技術研究開発機構からの派生で、ベリリウムと言う材料を独自の精製技術で生産するようです。核融合プラズマを実験するようなスタートアップではなく、核融合に必要な部材を生産する会社です。

ベリリウムは、トカマク型核融合炉のブランケットと呼ばれる部材で使用される、発電のために重要な役割を果たす材料です。今後は海外のトカマク型核融合炉スタートアップからの受注が期待されると考えられます。

なお、「ミレッソ(MiRESSO)」と呼称されるプロジェクトでこのような動きがあった模様です。「ミレッソ」は、ベリリウム及びその他鉱物資源の低温・省エネ精製技術の研究開発と、この技術を活用した鉱物資源の循環型サプライチェーン構築を目指すプロジェクトです。現在、この技術は実用化に向けた実証段階にあり、実装されれば鉱物精製過程におけるエネルギー消費量、CO2排出量の大幅な削減が実現します。

日本で今後も核融合スタートアップが増えていき、そしてそれらの企業が世界で活躍するといいなと思います。

関連記事リンク: (上図の引用元) https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1570442
https://www.qst.go.jp/site/press/20230330.html

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