【特集】日本の核融合スタートアップ(2024年4月版)

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先に 核融合Q&A-1~5 までを読んで頂くと、記事の理解が早まるのでオススメです

日本の核融合(フュージョン)スタートアップ企業を一挙紹介

この記事では、2024年4月現在における、日本発の核融合スタートアップ企業を紹介します。

核融合業界では現在、先進国を中心に数多くのスタートアップ等の企業が登場しています。その数は2024年3月時点で世界に約50社ほど。そして日本にも、複数社の核融合スタートアップ企業が存在します。

この記事では、世界的な核融合(フュージョンエネルギー)産業化の波の中で活躍する、日本の核融合スタートアップ企業を紹介していきたいと思います。ビジネスや核融合就職活動などのご参考としてください。

目次

核融合の先生Mural紹介

※ 下記ボタンをクリック後に、「Enter as a Visitor」を選択して進んでください。

京都フュージョニアリング

京都フュージョニアリング
核融合発電システムによる発電試験するプラント「UNITY」の概念図

☝ 画像引用元 京都フュージョニアリング株式会社 https://kyotofusioneering.com/

京都大学発の、日本を代表する核融合ベンチャー。核融合炉自体を製作するのではなく、トカマク型を中心とする磁場閉じ込め方式などの核融合炉の「炉心周辺機器」の製作や試験を中心に活動する企業です。

対象とする機器は、実際に制作しているものから共同検討に参加しているものまで含めれば、以下のように非常に幅が広いのが特徴です。

また、日本のフュージョンエネルギー産業協議会の会長会社でもあります。日本を代表する核融合スタートアップ企業の1つです。

Helical Fusion(ヘリカルフュージョン)

Helical Fusion
ヘリカル型核融合炉の炉心部の概念図

☝ 画像引用元 株式会社Helical Fusion : https://www.helicalfusion.com/

ヘリカル型磁場閉じ込め方式の核融合炉の実現を目指す日本発の核融合スタートアップ企業です。他の核融合方式と比較して、ヘリカル型核融合炉は核融合プラズマを安定して長時間保持しやすいという特徴があります。

磁場閉じ込め方式の核融合炉用の高温超伝導導体の研究開発、核融合燃料のプラズマへの打ち込み手法に関する研究、ブランケットに関する研究なども、他大学との共同研究などを通じて行っています。

また、日本のフュージョンエネルギー産業協議会の副会長会社を務めています。

なお、この会社は核融合科学研究所の研究者らが立ち上げた(スピンオフした)企業です。

EX-Fusion(エクスフュージョン)

EX-Fusion
レーザー核融合炉の炉心の概念図

☝ 画像引用元 株式会社 EX-Fusion https://ex-fusion.com/

日本発のレーザー核融合スタートアップ(大阪大学発)。レーザー核融合商用炉の実現を目指す。

高速点火方式」と呼ばれるレーザー核融合方式を参考にしている。高速点火方式では、燃料が炉心に到達すると同時に①四方八方からレーザーを照射することで燃料ターゲットを圧縮し、②さらに別のレーザーで燃料を点火し核融合反応を引き起こす。

この反応により生成された中性子のエネルギーは、炉心を囲む「ブランケット」と呼ばれる装置で吸収され、熱交換器により水を温めてタービンを回し、電気エネルギーに変換されます。ターゲットの投射から燃料の点火までのサイクルを1秒間に約10回の頻度で安定して繰り返すことができれば、発電所として運用が可能だと考えられています。

上記説明は、EX-Fusion社のホームページより引用 ▼ (燃料の追跡照射に関する分かりやすいアニメーションがあります)

あわせて読みたい
研究と蓄積、その活用 | EX-Fusion レーザー核融合炉で安定して発電を持続するには、『燃料となる重水素と三重水素をレーザーで圧縮し、点火させる』ということを何度も繰り返す必要があります。

副業支援の先生

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LINEA Innovations

日本大学の直線型プラズマ実験装置
日本大学のFAT-CM装置 画像引用元:研究紹介 | 日本大学 – 日本大学 理工学部 物理学科 プラズマ理工学研究室 (nihon-u.ac.jp)

日本大学と筑波大学の教授が立ち上げた、核融合スタートアップの「LINEAイノベーション」。

株式会社LINEAイノベーション(リニアイノベーション)https://linea-innovations.com/

中性子を出さず、安全でシンプルな革新的核融合炉の実現を目指しています。核融合の燃料を、水素+ホウ素というものを使用すると、特定の条件下で中性子の発生を抑えた核融合反応を起こすことができます。また、FRC(直線型)と呼ばれる磁場閉じ込め方式の核融合炉でそれを実現しようとしています。

核融合の燃料やFRCについては、以下の記事を参考にしてください。

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Blue Laser Fusion

☝ 画像引用元 Blue Laser Fusion, Inc. https://bluelaserfusion.com/

Blue Laser Fusion, Inc.(ブルーレーザーフュージョン)は、実は日本ではなくアメリカにある核融合スタートアップ企業です。ですが、設立者は、青色発光ダイオード(LED)を開発した功績で2014年にノーベル物理学賞を受賞した、中村修二氏なのです。

ブルーレーザーフュージョンでは、レーザー核融合発電炉の商用化を目指しています。そのようなスタートアップ企業は他にも存在しますが、他社と異なるのは、(先ほども出てきましたが)水素+ホウ素の燃料を使用することで中性子の発生を抑えた核融合反応を利用するということです。

MiRESSO

MiRESSOの中性子増倍材

☝ 画像引用元 株式会社MiRESSO: https://miresso.co.jp/

MiRESSOは、核融合炉に必要となるベリリウムを、従来の精製手法よりも低コスト・省エネルギーで精製できる技術を保有する会社です。

ベリリウムは、重水素+三重水素(トリチウム)を燃料とする核融合反応など、中性子の発生を伴う核融合炉に用いられます。ベリリウムに中性子1個が衝突すると、中性子が2個になる原子核反応が起こります。元々1個の中性子が、反応後は2個になるため、「倍増」することになります。そのため、ベリリウムは「中性子増倍材」とも核融合分野では呼ばれます。

増えた中性子は、リチウム6という金属に衝突すると、燃料のトリチウムが作られる反応を起こします。中性子の数が多ければ、トリチウムを多く生み出せます。そのため、中性子を増やすベリリウムは重要な材料なのです。

なお、この会社は、量子科学技術研究開発機構(QST)からスピンオフした企業です。

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LiSTie

LiSTie 株式会社

☝ 画像引用元 LiSTie 株式会社 https://listie.co.jp/#

LiSTieは、「リチウムで持続可能な地球環境を次の世代に繋ぐ」を掲げる、リチウムの回収または分離技術の開発を手掛けるスタートアップ企業です。

設立は2023年7月6日と最近ですが、Li:リチウムの回収分離に対してユニークな技術を保有しています。それは、リチウムを含有する溶液、例えば海水や工業廃液などから、リチウムだけを選択的に回収できるという技術です。

リチウムは、核融合炉のブランケットに使用される材料であり、核融合の燃料である「三重水素(トリチウム)」を生産するために利用されます。一方で、リチウムは私たちの日常生活に既に「電池・バッテリー」という形で浸透しています。携帯電話のモバイルバッテリーから電気自動車の電池まで、リチウムイオン電池が広く使われているのです。

そのため、リチウムは資源として非常に重要なものであり、それを回収できる固有の技術を持つというのはこの会社の大きな強みです。

なお、この会社は、量子科学技術研究開発機構(QST)からスピンオフした企業です。

海外の核融合関連企業の探し方

海外の核融合関連企業を調べたい方は、以下のリンクを使ってください。

以下は、アメリカの核融合産業協議会「Fusion Industry Association」で、日本を含む世界各国の核融合ベンチャー企業が登録しています。

Fusion Industry Association
Members - Fusion Industry Association The membership of the Fusion Industry Association is working to transform the energy system with fusion power.

なお、日本にも「フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)」が2024年3月に立ち上がったばかりです。

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