核融合とプラズマの関係[Q&A-3]

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先に 核融合Q&A-1~5 までを読んで頂くと、記事の理解が早まるのでオススメです

核融合と関係が深い「プラズマ」とは何かを解説

この記事では、核融合と関係が深い、「プラズマ」というものについて理解しやすく解説をしたいと思います。

1つ前のQ&A-2話では、核融合の条件として、高い温度と密度(超密集状態)が必要と説明しました。また、その程度は、太陽の中心部並みが必要です。太陽の場合は、中心部が約1600万℃。そして、地球の約33万倍の重さの影響も重なった分が、圧力として中心部にのしかかると説明しました。

ところで、約1600万度のように、私たちが普段体感しない 超高温状態では、物質はすべてプラズマ状態になります。プラズマ状態とは、実は、物質の3態である固体・液体・気体に続く、物質の第4の状態なのです。

そのため、この記事では、「プラズマ」とは一体どのようなものかを解説します。

目次
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物質の三態とは

プラズマ状態を説明する前にまずは「物質の三態(さんたい)」について説明します。「物質の三態」は、小中学校で習ったことがある事なので、難しいことではありませんよ。 

物質の三態とは、固体・液体・気体のことです。 

これは、ほとんどの物質で、この3つの状態が存在するということです(例外もありますが )。

例えば水です 。水の場合、固体は氷、液体は水、気体は水蒸気です 。
そして皆さんが知っているように、氷は0℃以上になると水になり、水は100℃以上になると水蒸気になります 。

物質の三態

このように、温度が高くなるにつれて、物質というのは固体→液体→気体と状態を変化させていきます。これを、物質の三態と言ったり、状態変化と言ったりします。

そしてもちろん、金属のような室温では硬い固体の物質でも、温度を上げれば液体、そして気体になります。ただ、物質によって状態変化する温度は様々です。

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状態変化には、4態目がある

「物質の三態」は、小中学校で習ったことがあること、と先に説明しました。しかしながら、

実は、物質には、第4の状態があります。
それは、気体の温度をさらに上げたときになる、「プラズマ」の状態なのです。

これは、小中高では学習しませんが、大学の一部専門学生が学習する知識です。

以下の動画には、プラズマの様子がわかる動画や実験の様子が冒頭にたくさんあったので、見やすさの意図から掲載させて頂きました。

引用元:[ScienceNews2016]低温プラズマ 先端医療への新展開(2016年7月29日配信) – YouTube

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プラズマ状態とは?

原子は、温度が高くなれば高くなるほど、動きが活発になり、速い速度で動くようになります。そのため、温度が高くなればなるほど、固体→液体→気体→プラズマという活発に動きやすい状態に変化していきます。

それぞれの状態について、原子レベルの動きを図も使って解説します。

核融合を学ぶための原子の動きと物質の三態
  • 固体状態では、原子たちが固まって動きません。
  • 液体状態では、原子は動けますが、あくまで液体の中を漂うだけです。
  • 気体状態になると、原子の動きが活発になって空気中を動き回れるようになります。
  • 固体・液体・気体では、原子中の原子核と電子は、離れずにいます。

ではプラズマ状態とはどのような状態でしょうか。

気体状態となった原子や分子をさらに高温にすると、プラズマ状態になります。

プラズマ状態も気体と同じように空気中を動き回れますが、プラズマ状態が気体と違うのは、原子の原子核と電子が離れて動くようになることです。

プラズマ状態とは?続き

プラズマ状態の物質は、温度が非常に高いです。そのため、原子核も動きが活発ですが、原子核とセットで動いていた電子も活発になるので、電子は原子核から離れて動くようになります。

ただ、実際には、プラズマ状態で電子はずっと原子核から離れるわけではなく、時々原子核の近くに戻ったりもしています。離れたり、戻ったりを繰り返すようになるのです。

核融合を学ぶためのプラズマ状態での原子核・電子の動き

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電子が原子核と離れたり、戻ったりを繰り返すと何が起こるか?

原子核と電子が離れたり、戻ったりを繰り返すとき、実は光が放出されます。

原子核の周りを飛び出し、活発に動き回っていた電子が、再び原子核の周りに戻って落ち着こうとするとき、活発なときに持っていたエネルギーを光に換えて捨てるためです。

そのため、プラズマ状態や、プラズマ状態になりかけの物質は、光るのです。

核融合プラズマの原子核と電子の状態

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私たちの身の回りのプラズマ

基本的に、プラズマは光るという分かりやすい性質があるため、私たちの身の回りでも見つけやすいです。

例えば、蛍光灯やネオン管の中では、プラズマ状態が使われています。また、オーロラや太陽もプラズマです。また、火や炎は、完全なプラズマではありませんが、プラズマになりかけの状態です。

プラズマと蛍光灯・ネオン管
プラズマとオーロラ
プラズマボール

引用元 一家に1枚!プラズマポスター:一家に1枚|科学技術週間 SCIENCE & TECHNOLOGY WEEK (mext.go.jp)

核融合とプラズマ

物質は、高温になるとプラズマ状態になります。
一方、核融合は、物質がプラズマ状態になり始める温度より、はるかに高温で起こります。

太陽が良い例です。太陽は、水素とヘリウムの巨大な超高温プラズマですが、その中で核融合が起きています。

ところで、核融合で必要な条件について、前の記事:核融合の条件で説明しましたが、高い温度・高い密度(密集状態)が必要です。

つまり、つまり、人工的に核融合を起そうとするならば、高温・高密度のプラズマを、長時間作り続ける必要があるのです。

核融合を起こす太陽は、高温・高圧のプラズマ
核融合を起こす太陽は、高温・高密度のプラズマ

まとめ

◆核融合とプラズマの関係◆

  1. 物質には、固体→液体→気体に続く、第4の状態 プラズマがある。気体状態となった原子や分子をさらに高温にすると、プラズマ状態になる。
  2. プラズマ状態では、電子が原子核と離れたり戻ったりを繰り返す。このとき、光が放出される。
  3. 人工的に核融合を起そうとするならば、高温・高密度のプラズマを、長時間作り続ける必要がある。

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