今ある原発(核分裂)と核融合の違いは?[Q&A-6]

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先に 核融合Q&A-1~5 までを読んで頂くと、記事の理解が早まるのでオススメです

今の原子力発電所は核分裂…核融合との違いを解説

この記事では、今すでにある原子力発電所(核分裂)と核融合の違い・共通点について、解説します。

実は、核融合炉は原子力発電所に種類分けされます。その理由は、核融合も原子力エネルギーを利用するためです。ただ、核融合の技術はまだ研究開発の段階です。2022年現在、核融合で実際に電気を作る原子力発電所を建設した国は、どこにもありません。

それでは、現在世界各地にある原子力発電所と、研究開発中の核融合炉の違いは何なのか。この疑問にお答えしたいと思います。

目次

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ズバリ、今の原子力発電所と、核融合の違いは?

先に答えをお伝えすると、今、既に存在する原子力発電所では、「核分裂反応」という現象が使われています。「核分裂」と「核融合」の違いがあるわけです。この核分裂について、もう少し詳しく説明していきます。

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核融合と核分裂の違いは?

核融合については、Q&A-1でも紹介していますが、原子核と原子核がぶつかりくっついて、別の原子核ができることです。このときに、たった1グラム分の原子核が核融合反応を起こすと、石油数トン分のエネルギーが発生します。

では、核分裂とは何か。

核分裂は、ある1つの原子核が、2つの原子核に分裂する現象です。

実は核分裂も、核融合と同じくらいのエネルギーが発生する現象です。

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核融合を起こしやすい原子

核融合を起こしやすいのは、今まで紹介してきた水素とその仲間(重水素・三重水素)です。

一般的に、元素周期表(すい・へー・りー・べーで覚えたあの表です)の上の方のほど、核融合を起こしやすい、軽い原子が多いです。

ここで、核融合を起こしやすいと言っているのは、核融合に必要な温度・密度が低くて済むことを言います。とは言っても、最低でも太陽の中心くらいの温度・密度が必要ですが…。

ただ、核融合を起こせるのは、普通は元素周期表の中でもFe:鉄の原子より上にある原子だけなんです。

参考:鉄より重い元素の起源: https://www.riken.jp/press/2014/20140717_2/index.html

元素周期表

元素周期表(引用元: 文部科学省): https://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/week/1413572_00004.htm

核分裂を起こしやすい原子

逆に、核分裂を起こしやすく、原子力発電所に使われているのは、ウランという物質です。ウランの原子記号はUです。これは、海外の鉱山で採掘される、地球上に天然で存在する物質です。

核分裂反応を起こすウランの鉱石
ウラン鉱石 引用元:日本原燃

ウランには、次の2種類が地球上にあるほとんどを占めています。

  • 核分裂しやすいけどあまりたくさん採掘できないウラン235(つまり、激レアなウラン)
  • 核分裂しにくいけどたくさん採掘できるウラン238

原子力発電所では、発電にちょうどいい分のエネルギーが取り出しやすくなるように、この2種類のウランの分量を調整して混ぜた燃料を使います。

ウランは元素周期表の中では、かなり下の方にある重たい原子になります。なお、ウランもまた、石油や石炭と同じように、限りある資源の1つであることに注意して下さい。

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ウランの核分裂反応

現在世界で稼働している原子力発電所では、次のようなウラン235の核分裂反応から生じるエネルギーを利用しています。

  1. ウラン235の原子は、中性子1個にぶつかって来られると、核分裂をします。
  2. 核分裂すると、なんと、バリウム(Ba)原子とクリプトン(Kr)原子という2つの全然違う原子に分裂します。
    ※ これは一例で、BaとKr以外に分裂することも多々あります。
  3. また、1グラムのウラン235が核分裂ときに、石油2000リットルほどの膨大なエネルギーと、新しい中性子も0〜3個生まれます。

参考:近畿 アル ミニウム表面処理研 究会会誌No284 やさしい科学 核融合と核分裂(V)

ウラン235の核分裂反応の例
ウラン235の核分裂反応の例 引用元: (株)原子力安全システム研究所

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核分裂反応の連鎖と、原子力発電所での電気の作り方

1つ前の話の続きで、この新しく生まれた0〜3個の中性子は、原子力発電所の燃料の中では、今度は別のウラン235にぶつかります。すると、またそこで核分裂が起こる → また新しい中性子が生まれる → また別のウラン235で核分裂が起こる…といったように、連鎖反応が起こります。

この反応が連鎖すると、発生するエネルギーも連鎖で増えます。そのため、配合したウラン燃料を放っておくと、どんどんエネルギーが発生するのです。そこで、原子力発電所の中では、中性子が発生しすぎないように中性子の動きを邪魔する「制御棒」という装置を使って、エネルギーの量を調整する仕組みになっています。

原子力発電所では、このウラン235が起こす核分裂のエネルギーを、水に吸収させます。エネルギーを吸収した水は熱くなり沸騰して、蒸気が発生します。この蒸気を使って、発電機(タービンとも呼ばれる)という電気を作りだす機械を動かすのです。

原子力発電所の中では、爆弾の爆発は起きていない

なお、「原子力発電所の中では原子爆弾の爆発が起きている」と思われている方も時々おられますが、ここまでの説明で、爆発をさせているわけではないことは、分かって頂けたでしょうか。

また、現在の原子力発電所と、核融合炉の安全性の違いに関するお話は、次の記事で紹介しておりますので、興味のある方はこちらをどうぞ。

◆核融合と核分裂の違い まとめ◆

  1. 核分裂は、ある1つの原子核が、2つの原子核に分裂する現象
  2. 核分裂を起こしやすく、既存の原子力発電所に使われているのは、「ウラン」という物質
  3. 原発の中では、ウランの核分裂の連鎖反応から、膨大なエネルギーを得ている

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