磁場閉じ込め方式とレーザー(慣性)核融合炉の違い?[Q&A-8]

Ref: https://www.llnl.gov/news/national-ignition-facility-achieves-fusion-ignition
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先に 核融合Q&A-1~5 までを読んで頂くと、記事の理解が早まるのでオススメです

磁場閉じ込め方式のとレーザー核融合炉の違いを解説

この記事では、磁場閉じ込め方式核融合とレーザー核融合の違い、そして、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

この2種類の型こそが、核融合発電の実現に向けて有望視されている核融合の方法になります。なお、ITERなど、当Webサイトで紹介していくのは、磁場閉じ込め方式の技術が中心となります。レーザー核融合については、当サイトで触れる機会が少ないので、概要だけ、この記事を読んで知ってもらえればと思います。

目次

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おさらい:核融合発電の実用化に向けた2つのポイント

核融合反応を起こす条件については、Q&A-2話でも解説していますが、おさらいします。必要なことは、燃料を超高温に加熱し、なおかつ高い圧力をかけることです。具体的には、太陽の中心部に匹敵する温度と圧力が必要です。

そして、Q&A-3話で解説しましたが、超高温状態になると、核融合の燃料は「プラズマ状態」になります。「プラズマ状態」は、固体・液体・気体に次ぐ、物質の第4の状態で、電気の性質を持った気体になります。Q&A-4話では、プラズマ状態になった燃料は、強力な磁場があれば動きをコントロールできることについて説明しています。

この記事を読み進める前に、核融合発電の実用化に向けた2つのおさらいポイントとして、次のことを覚えておいてください。

  1. 燃料を太陽の中心部並みの超高温・高圧力状態が必要
  2. 超高温では、燃料はプラズマになる。プラズマは、強力な磁場があれば動きをコントロールできる。
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磁場閉じ込め方式の核融合炉とは

磁場閉じ込め方式の核融合については、Q&A-5でも説明をしているので、先にそちらを読んでみてもらえるとわかりやすいです。簡単に言うと、ドーナツの形をしたプラズマ状態の燃料を、磁場を使ってコントロールしながら、長時間維持します。

「磁場閉じ込め方式」が、後ほど説明する「レーザー方式」と一番大きく異なるのは、プラズマの温度をゆっくり上げていくところ。そして、核融合が始まっても、長時間キープすることです。このプラズマをキープするために、磁場が使われるのです。

レーザー核融合(慣性核融合)とは

レーザー核融合は、慣性核融合とも呼ばれます。この記事では、分かりやすいのでレーザー核融合で呼び方を統一します。

レーザー核融合とは、レーザービームを核融合用燃料に照射して、加熱する方式です。このとき、燃料はプラズマ状態ではなく固体のものを使います。ただし、単純にレーザーを当てるわけではありません。

数十~数百本のレーザー光を、固体燃料のあらゆる面に寸分の狂い無く同時に核融合燃料に当てて、超超超急速加熱します。なお、タイミングや位置が少しでもずれると、加熱は失敗してしまいます。

磁場閉じ込め核融合とレーザー核融合の原理
画像引用元: レーザー核融合とは/レーザーの原理:レーザー核融合研究:レーザー科学研究所 (osaka-u.ac.jp)
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レーザー核融合の加熱が成功するとどうなるのか

加熱が成功すると、燃料の「外側」だけが均一に熱せられて急激に膨張します。すると、燃料の「内側」は外側が膨らんだ勢い(慣性)で、急激に圧縮されます。これを、爆縮と言います。

この「爆縮」により、燃料の中心部を急激に圧縮・加熱することで、核融合に必要な超高温・高圧力状態を作り出すのが、レーザー核融合の仕組みです。

画像引用元: レーザー方式の核融合の開発はどこまで進んでいるか(その1) – NPO法人 国際環境経済研究所

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レーザー核融合の反応は一瞬の現象

爆縮により起こる核融合は、コンマ何秒よりもさらに短い一瞬の間の現象で、核融合によるエネルギーの放出が一瞬だけ起こります。この一瞬で生じるエネルギーを、発電に利用します。

ただし、一瞬1回のレーザー核融合だけでは、他の発電所と同じ規模の電気を作るには足りません。そこで、次々に燃料を装填して、何回もレーザー核融合を起こせるような仕組みを開発していくことが必要になります。

核融合炉の仕組みも2つの方式で全然異なる

磁場閉じ込め方式と、レーザー方式。同じ核融合でも、方式が異なれば、核融合炉の構造や使われる機器も全然異なります。

それぞれの方式の特徴と、メリット・デメリットについて、簡単に解説をします。

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磁場閉じ込め核融合炉の特徴

磁場閉じ込め方式は、その名前の通り磁場が肝になります。そのため強力な磁場が発生できる電磁石を、炉心に多数配置するのが最大の特徴です。(電磁石の配置に関しては、Q&A-5 トカマク型核融合炉を参照。)

将来、発電のために核融合炉を建設していく頃には、超伝導コイル」という強力な電磁石を使うことが必須だろうと言われており、核融合炉用に製作するための研究開発や実用化が進められています。

そして、レーザービームを使うわけではないので、レーザービーム発生装置は、磁場閉じ込め方式にはありません。

磁場閉じ込め式核融合のメリット

磁場閉じ込め方式のメリットですが、これはプラズマ維持のための研究がうまく進めば、という前提になりますが、連続運転がしやすいことです。

核融合炉に限らずどんな発電所でも、最も重要なのは、各家庭やビル・工場などに、安定して電気の供給を続けることができることです。核融合ではどんな方式でも、この電気の安定供給が最大の課題でした。つまり、核融合反応を長時間持続させることがとても難しいのです。

磁場閉じ込め方式は、その持続問題の解決が、最も有望視されている方式と言えます。プラズマ持続研究の進展が必要で、プラズマが不安定になる現象の機構解明とその改善方法の確立がまだまだ必要ではあります。ですが、その研究が進めば、将来的にはAIに学習させることで、プラズマ維持も自動化されていくと考えられています。

磁場閉じ込め式核融合のデメリット

デメリットは、核融合炉の炉心がどうしても巨大化してしまうことです。核融合プラズマをコンパクトな空間でコントロールすることは、現在の電磁石・超伝導コイルで生じさせることができる磁場の強さでは、難しいと考えられています。そのため、仕方なくプラズマを作る炉心空間を大きく取って設計します。その空間の大きさは、人なんて軽く飲み込むほど。

炉心が巨大化すると、使われる金属の量が増えたり、重量物が増えて建設の難易度が増すので、炉心の巨大化により建設コストが増大してしまいます。このコストは、将来核融合発電所が実用化されたときは、作った電気を売って回収するしかありません。その電気代がべらぼうに高くなってしまうと、核融合炉の必要性が疑問視されてしまいます。

いかにして、核融合炉の建設コストを下げられるかも、重要なのです。そのため、コンパクトな空間でも核融合プラズマをコントロールするための研究が、世界で進められています。日本でも、これから実験が予定されているJT-60SAで、コンパクトな先進的プラズマの研究が進められる予定です。

JT-60SA 鳥瞰図
画像引用元:JT-60/JT-60SA概説図 – 量子科学技術研究開発機構 (qst.go.jp)

レーザー核融合炉の特徴

レーザー核融合の場合、超伝導コイルのような強力な磁場は必要ないので、ありません。

一方、数十~数百本の強力なレーザーが必要なので、当然のことながらレーザーを発生させる装置が主要機器として必要になります。

レーザー核融合炉の長所

レーザー核融合炉の長所は、炉心をコンパクトにできることです。磁場閉じ込め方式の場合、人を飲み込むほどの巨大プラズマを作り、時間をかけて核融合の起きる条件に成長させていきます。一方、レーザー核融合炉では、指に載るほどの大きさの固体燃料を使用するので、炉心サイズはコンパクトで済みます。

もっとも、多数の強力なレーザービームを作り出すビームラインには、巨大なスペースが必要になりますが、核融合反応が起きる炉心の外に設置されるので、炉心サイズが小さくできるということです。

レーザー核融合発電所の概念
レーザー核融合発電所の概念。画像引用元: レーザー核融合について | レーザー核融合技術振興会 (ilt.or.jp)
レーザー核融合研究設備
大阪大学のレーザー核融合研究設備「激光XII号」のレーザー室:激光XII号 – レーザー科学研究所 (osaka-u.ac.jp)

レーザー核融合炉の短所

これは先ほども紹介しましたが、連続運転が難しいことにあります。レーザー核融合で生み出したエネルギーから電気を作り、電力の消費者に供給するに当たっては、連続運転が不可欠です。

そのために、次々に燃料を装填して、何度もレーザー核融合を起こせるような仕組みを開発していくことになります。

終わりに

この記事で紹介したように、磁場閉じ込め方式とレーザー方式では、同じ核融合でも特徴が全く異なります。

さらに言えば、実は磁場閉じ込め方式にも様々なタイプが存在し、一長一短が存在します。

核融合の研究は、このような一長一短の違いがある中で、もっとも発電の実現が近いと思われる方式・タイプを中心に、研究が世界的に進んできた経緯があります。

そして今、実用化に最も近い実験を行うために、国際協力の下で建設中の核融合炉が、磁場閉じ込め方式の「ITER」なのです。

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