フュージョンエネルギーの政策変化が大きい!2024年5月
この記事では、フュージョンエネルギーの政策の変化について、2024年5月時点での最新情報を紹介します。
日本の歴史上初の核融合国家戦略「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」が2023年4月に策定されてから、日本でのフュージョンエネルギー(核融合)に関する政策の検討が加速しています。
特にその戦略策定以降に様々な動きが起きているため、2024年5月までの最新の政策動向を、この記事で紹介したいと思います。
フュージョンエネルギー・イノベーション戦略 2023年4月(おさらい)
フュージョンエネルギーとは、「核融合反応」が起きたときに生じるエネルギーのことを指します。
核融合反応の物理現象については、詳しくは以下の記事を読んでみてください。この記事では、政治的な動きに絞って解説をしていきたいと思います。
核融合エネルギーのことをフュージョンエネルギーと政策上呼ぶようになったのは、この記事の冒頭でも紹介した、日本の歴史上初の核融合国家戦略「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」が2023年4月に策定されてからです。
フュージョンエネルギー・イノベーション戦略の本文リンク: https://www8.cao.go.jp/cstp/fusion/fusion_senryaku.pdf
この国家戦略の解説を読みたい方は、以下の記事を参照してください。
以降この記事で、その後の日本国内における政治的な動きを紹介します。
ムーンショット型研究開発制度 目標10に「核融合」設定 2023年12月
この制度は、「我が国発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を推進する国の大型研究プログラム」です。
ムーンショット型研究開発制度の目標10に、核融合が、次のように選ばれました。
<ムーンショット目標10>
2050年までに、フュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現
これについて、さらに詳しくは以下の「日本の核融合ニュース (2023年12月、2024年1月号)」で紹介しております。こちらを読んでみてください。
自民党に「フュージョンエネルギープロジェクトチーム」発足 2024年2月
自由民主党の党科学技術・イノベーション戦略調査会(会長・大野敬太郎衆院議員)は新たにフュージョンエネルギープロジェクトチーム(PT)を設置。座長の平将明衆院議員の下、政策提言の検討が始まりました。
なお、この記事の最後に、2024年5月に本PTより提出された提言についての解説があります。
フュージョンエネルギー産業協議会発足 2024年3月
2024年3月末には、フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)が発足しました。既にアメリカにも核融合の世界的規模の産業協議会がある中で、ようやく日本にも。
これについて詳しくは、以下の記事で解説しています。
立憲民主党と国民民主党「フュージョンエネルギー推進議連」発足 2024年4月
立憲民主党と国民民主党の議員有志らが、議員連盟「フュージョンエネルギー推進議連」を立ち上げました。
フュージョンエネルギー政策に関する検討を行うもので、立憲の大島敦衆院議員が会長、国民民主の竹詰仁参院議員が幹事長に就いたとのことです。
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フュージョンエネルギーの実証と商業化を加速する日米戦略的パートナーシップ 2024年4月
4月9日(現地時間)、米国を訪問中の盛山大臣は、ワシントンD.C.にて、ターク米国エネルギー省(DOE)副長官と会談を行い、「フュージョンエネルギーの実証と商業化を加速する戦略的パートナーシップに関する共同声明」を発表しました。
この同時期に岸田首相もアメリカを訪問中であり、バイデン大統領との日米首脳会談が行われていた中での、フュージョンエネルギーに関する共同声明の発表でした。
この共同声明により、今後文部科学省では、科学技術協力協定に基づいて設置された日米核融合調整委員会(CCFE)を活用し、以下のような戦略的な活動を推進するとのこと。
- 科学的・技術的課題への対応や、研究開発施設の共用・開発
- 核融合炉の規制に関する国際的な協調の促進
- 産業界とも連携した、世界的なサプライチェーン発展の支援
- 次世代を担う人材の育成や研究者交流の拡大
参考リンク:
- 盛山大臣がターク米国エネルギー省(DOE)副長官と「フュージョンエネルギーの実証と商業化を加速する戦略的パートナーシップに関する共同声明」を発表 (mext.go.jp)
- Joint Statement between DOE and the Japan Ministry of Education, Sports, Science and Technology Concerning a Strategic Partnership to Accelerate Fusion Energy Demonstration and Commercialization | Department of Energy
- International Partnerships in a New Era of Fusion Energy Development | OSTP | The White House
フュージョンエネルギーへの今枝 宗一郎文部科学副大臣の取組み 2024年5月
実は、文部科学副大臣の今枝 宗一郎氏が直々に、フュージョンエネルギーの解説やロードマップを作成されています。
今枝氏による、フュージョンエネルギーの一般の方向けの解説動画はこちらです。
また、フュージョンエネルギーの産業エコシステムロードマップ2050はこちらです。各国のフュージョンエネルギー開発に関する最新情報から、それらと日本との比較と取るべきアクションについて非常に整理されています。 私もイチオシ、非常に有用な資料であると感じました!
今週は昨年、文部科学副大臣になって以降、これまで頑張ってきた分野の提言を公開します。
— 今枝宗一郎(文科副大臣/スタートアップ議連・MaaS・CASE推進議連事務局長/衆院議員愛知14区) (@imaeda_soichiro) May 1, 2024
3日日の努力分野提言は #フュージョンエネルギー。… pic.twitter.com/xqfSfrfyjL
フュージョンエネルギーの安全規制の議論が内閣府で開始 2024年5月
核融合の安全規制について議論する有識者部会の初会合が、2024年5月10日に開かれました。
専門家会議は産業界のほか、核融合に用いる原理や燃料、放射線やエネルギー政策などの専門家ら13人が加わりました。
主査は調査会社マトリクスKの近藤寛子代表で、2024年度中には基本的な考え方を取りまとめるとのこと。
なお、欧米では既に核融合の規制検討が進んでおり、例えば米国の場合は加速器と同じ枠組みで扱うようです。(以下、「核融合の先生X(旧Twitter)」参照。)
アメリカでの核融合の規制について、簡単な説明(Helion Energy社より) pic.twitter.com/k7uCuEAFXX
— 核融合の先生(H. Ozeki) (@fusion_teacher) May 11, 2024
「フュージョンエネルギー基本法」制定に向けた自民党の動き 2024年5月
先程紹介した、「自民党フュージョンエネルギープロジェクトチーム(平将明衆院議員座長)」から、提言が出されました。そして、2024年5月14日に自民党政調審議会で了承されました。
従って、政務調査会の政策審査会通ったら、自民党の正式な政策提言となりました。
これについては、かなり重要な内容となるため、別の記事で私の方で読み解きたいと思います。先に知りたい方は、提言書の内容については、以下のX(旧Twitter)からのリンクをたどってください。
核融合の提言「フュージョンエネルギーを国策に」も公開されています!
— 核融合の先生(H. Ozeki) (@fusion_teacher) May 14, 2024
フュージョンエネルギー基本法制定、
次期エネルギー基本計画策定の上でフュージョンエネルギーの位置付けを高める必要性について
6ページにわたって包括的に述べられています#核融合 #フュージョンエネルギー https://t.co/ZhFpOjQySv
リンク:平将明衆議院議員公式サイト (taira-m.jp) 令和6年4月~5月 座長としての提言一覧
また、既に平氏から解説YouTubeが以下の通り発信されておりますので、こちらもどうぞ。
<2024年5月14日> フュージョンエネルギーを『国策』に
「フュージョンエネルギーを『国策』に」と題する自民党PTからの提言内容に関する記事をUPしました!
以下のリンクからどうぞ。
2024年に入り、日本ではフュージョンエネルギーの政策化の動きが加速!
ここまでで紹介したように、2024年は日本でのフュージョンエネルギーの超加速の年。
政治における様々なところで、検討・アクションが同時多発的に行われている状況です。
今後も政治的な動きに目が離せません!
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